日本安全帯研究会 【NO Accident Whith HARNESS】

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Q&A

Q1構造規格とJISの違いについて
労働安全衛生法第42条(譲渡等の制限等)には“危険な場所において使用するもののうち、政令で定めるものについて、厚生労働大臣が定める規格を具備しなければならない。”と規定されています。この、厚生労働大臣が定める規格のことを「構造規格」と言います。「構造規格」は、強制法であり必ず守らなければなりません。一方「JIS」とは、工業標準法(現「産業標準化法」)に基づき、日本工業標準調査会(現「日本産業標準調査会」)で審査・審議され、政府で制定した国家規格を言います。墜落制止用器具についてもJISがあり、広く品質等の基準になっています。なお、「構造規格」に引用されているJISは強制法と同様に必ず守らなければなりません。
Q2作業床の定義を教えてください。
法令上具体的な定義はされていませんが、一般的には、足場の作業床、機械の点検台等作業のために設けられた床を言います。また、ビルの屋上、橋梁の床板等、水平で平面的な広がりをもった建築物の一部であって、通常その上で作業することが予定されているものについても作業床となると考えられています。(厚生労働省のウェブページ “墜落制止用器具に係る質疑応答集”による)
Q3製品の型式証明はあるのでしょうか。
保護具のうち、例えば保護帽では厚生労働大臣の定める規格に適合するだけではなく、型式毎に検定を受けなければなりません。墜落制止用器具は、自己認証品であるため型式証明はありません。
 自己認証品とは、製造業者が自ら製造過程の品質管理や製品検査を適正に行い、厚生労働大臣が定める規格「墜落制止用器具の規格」に適合した製品であることを自ら証明する製品のことです。
Q4特別教育は誰が行うのですか。
労働安全衛生法第59条第3項に「事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行わなければならない。」と定められています。
 特別教育の講師についての資格要件は定められていませんが、学習科目について十分な知識、経験を有するものでなければならないことは当然です。また、特別教育は事業者が実施しても、外部の講師に委託しても差し支えありません。
 事業者は、特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、3年間保存しなければなりません。
Q5高所作業車で、フルハーネス型を使用しで行う作業は、特別教育は必要ですか。
高所作業車のバケット内で作業を行う場合は、通常、バケットが作業床と認められるため、フルハーネス型を装着していても特別教育は義務付けられません。
 但し、バケット内で作業を行う場合であっても、6.75mを超える箇所で作業を行う場合は、フルハーネス型の使用が義務付けられています。(厚生労働省のウェブページ“墜落制止用器具に係る質疑応答集”による)
Q6性能要求墜落制止用器具とは何を指すのですか。
労働安全衛生規則第130条の5には、“墜落による危険のおそれに応じた性能を有する墜落制止用器具(以下「要求性能墜落制止用器具」という。(条文一部省略))”と規定されています。
 従って、事業者は労働者に対し、要求性能墜落制止用器具を選定し使用させなければなりません。
 尚、要求性能墜落制止用器具の選定方法については、“墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン”(基発0622第2号)に示されています。
Q72mから7m程度の高さでの作業では、フルハーネス型と胴ベルト型の両方が必要ですか。
「墜落制止用器具の規格」の(使用制限)2条1項に、6.75mを超える高さの箇所で使用する墜落制止用器具はフルハーネス型でなくてはなりません。それ以下の高さで作業する場合には胴ベルト型の使用が認められていますが、同一現場で、両方を使用することは、費用面と作業面に課題があります。また、「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」にはフルハーネス型の使用が原則となっていることから、2m程度等の低層の場合において、フルハーネス型を使用するには、巻取り式のランヤードを選択すると共に、フックを出来るだけ高い位置にかける等で落下距離を抑えて使用する対策があります。
Q8製品の耐用年数について教えてください。
耐用年数に関する公的な規定はありませんが、日本安全帯研究会としては、フルハーネス(ベルト部)は、3年、その他(ランヤード部)については2年を交換の目安として推奨しています。
 墜落制止用器具の主要部は、合成繊維を用いていますので、摩耗や紫外線による劣化を引き起こします。従って、作業前には必ず始業前点検を行い、異常のある場合は使用しないで廃棄してください。また、始業前点検のほかに一定期間ごとに定期点検を行ってください。なお、定期点検の間隔は半年を超えないこと。指導されています。(墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン参照)
 墜落制止用器具の使用環境は多岐に亘っており、また使用頻度にも違いがありますので、使用条件等を考慮したユーザー毎の耐用年数(廃棄基準)の設定をお勧めします。
Q9胴ベルト型安全帯は2022年1月1日以降も使用できるのですか。
 平成14年告示「安全帯の規格」に適合した製品は、胴ベルト型安全帯に限らず、ハーネス型安全帯も2022年1月1日以降は使用することはできません。
Q10U字つり安全帯(柱上作業用安全帯)は引き続き使用できるのですか。
U字つり安全帯(柱上作業用安全帯)は、今回の規格改正でワークポジショニング用器具(作業者の身体を保持するための器具)に分類されたことから、墜落制止用器具としては使用することができませんが、作業者の身体を保持するための器具として引き続き使用することはできます。
 ただし、U字つり安全帯を用いた作業では、墜落した場合にそれを制止するためのバックアップとしてフルハーネス型と併用する必要があります。 (その他、墜落制止用器具に関するQ&Aは、厚生労働省のウェブページ“墜落制止用器具に係る質疑応答集”で公開されています。)